クライムハザード

「いろんな部署に盥回しにされて、でもそんな仕事に意義なんて見出だせなかったんです。そんなとき、夜魅さんがぼくの力を借りたいって言ってくれて」

 彼女のことを話す卜部さんは、とても優しい顔をしていた。

「ぼく、科学捜査が大好きなんですよ。特派に――夜魅さんに拾ってもらえなかったら、たぶん今のぼくはなかった」

「……」

「だから、すっごく感謝してるんです。夜魅さんに!」

 あまりにきらきらした笑顔で言うから、俺は何も言えなかった。


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