クライムハザード
彼女――鹿羽夜魅は、卜部さんが最も実力を発揮出来る部署への異動を取り計らったという。
俺がこの約一ヶ月という時間に得た彼女の情報は、自分の興味と本能に忠実で、組織に縛られることを嫌う、奔放な人物。オールブラックという危険因子であるということ。
卜部さんの語る鹿羽夜魅の人間像と、俺の中の鹿羽夜魅。同一人物のはずなのに、埋められないズレがある。
……正直、ますます鹿羽夜魅という人間がわからなくなった。
「着きましたよ」
あれこれ思案している間に、俺たちは鑑識課の前まで来ていた。