クライムハザード
 ★

「……あの、卜部さん。どうしてここなんですか」

「駄目でしたか?」

「ううん、ぜーんぜん」

 卜部さんと、俺の上司――鹿羽夜魅。

 ごくごく自然に、ふたりはお茶を楽しんでいた。

 ……血なまぐさい資料の巣窟、特派の部屋で。おかげで、今この部屋は紅茶の香りで充満している。

 彼女たちの様子は微笑ましいようでいて、場所が場所だけになんだか異様に思えた。

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