レンアイ ルール
「美緒」
ぱしっ
美緒の手をひっぱる男の腕を掴むと、さっきまでニヤニヤと笑っていた男の顔が一瞬でひきつった。
「美緒、誰?こいつ」
そう言って、男の顔をギロリと睨む。
「な…なんだよ、男いんのかよ」
男は俺の登場に明らかに動揺している。
俺は美緒を背中に隠す様にして男に対面した。
「まだ、なんか用?」
重ねて男にそう言うと、そいつはそそくさとどこかに去って行った。
殴りかかってくるようなタイプじゃなくてよかった…
美緒の方を振り返ると、
俺の顔を見た美緒は心底安心したようで、一瞬泣きそうな顔をした。
「ありがと、大和…」
でも、俺は美緒の言葉を最後まで聞かずに腕を掴むと、さっきまで座っていた場所まで腕を引っ張って連れて戻った。
こんなの姿、他のやつからみたらさっきの男と変わらない。
でも、なんかイライラして、止められなかった。
「やまと…っ?」
なに、簡単にナンパされてんだよ。
正体のわからないイライラに支配される。
さっきの場所まで戻ると、美緒の腕を離した。
「やまと…」
「この馬鹿!!」
思わず強く怒鳴ると、美緒の肩がビクッと震えた。