あたたかい場所

「え、バレたんですか!?」

「ついポロッとね」
社長は舌を出した。


さっき事務所に入ったとき、僕が注目の的だったのにも納得がいった。

あんなにも真剣な面持ちで秘密だと止められていたから、
僕も美紗も必死に守ってきていたのに…


…そんなの有りですか。

これからは隠さずに働けるんだと思ったら気が楽にはなったけど…


「そういうことだから、観光のときのサポートよろしくね?バレないように」

「分かりました」
「うん。ねぇ、ココア淹れて貰っていい?」

「はい。社長室までお持ちします」
ありがとう、とだけ社長は言うと去って行った。


ココアを淹れにフロアの奥へ向かう。

こんな熱々のココアを真夏に飲むのは社長ぐらいじゃないかと思う。

いくら室内とはいえ、社長は一日に何杯も何杯も飲む。



それ程ココアが好きなんだろうけど。
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