あたたかい場所
「由香ちゃんすぐにこっち来るんよな?
うちら新幹線で帰るから同じの乗らんかな、と思うねんけど」
「え?そんなのダメだよ。あいつは一般人だし…」
「気にしなくていいよ。青山くんがいれば妹さんも安心だろうし」
翔さんもそう言ってくれて、甘えてもいいのかな、という気持ちが少しだけ出てきた。
「遠慮はいらんで?実家寄るつもりやからどうせ会うんやし。
せっかく日が一緒やのに別々に帰る必要ないやん?」
「そう言うなら…」
「由香ちゃんにも言うといて?」
「分かった」
「そんじゃあ、練習もどろーっと」
二人は階段を上って行った。
「やば、忘れてた」
社長用に淹れたココアがまだ温かいことを確認して、社長室に持って行った。