あたたかい場所
ネギ焼きを二枚買って、美紗と一緒に食べる。
「ん~、ほんま美味しいわ。聡、ネギ食べれるようなったん?」
「元から食べれるから」
「昔は苦い~言うて泣いてたやんか」
美紗は昔の僕の顔の真似をしているんだろうけど、これまたサングラスでよく見えない。
というか僕は苦手だっただけで、泣く程嫌いだったわけじゃない。
美紗は本当に余計な事ばっかりだ。
「美味いな。普通のお好み焼きも、これも」
「やろ?あっ、チーズかけてもろてるやんか!
こんなん無しやで。普通の食べられへんからやろ」
僕のネギ焼きには、トッピングでチーズを乗せて貰った。
ただ僕が好きだから乗せて貰っただけなんだけど、美紗はどうやらネギをカバーする為だと思ったらしく、
“食べてみ”と美紗のネギ焼きを差し出してきた。