あたたかい場所

「聡、こっち来い」

後ろの方から呼ばれて振り返ると、リビングのソファーで既に晩酌をしているおじさんと僕の父さんが居た。

僕を呼んだのは堅い表情のおじさんで、その隣では困ったように笑う父さんがいる。


「あのちゃらちゃらした奴がHARUKIか?」
おじさんの隣に腰かけると、そう聞かれた。

そうだよ、と答えるとおじさんの眉間のしわが深くなった。

確かにチャラくは見えるけど、おじさんは会ったことがなかったとはいえ晴輝さんを知っているだろうし、

今更そんなに何を考えることがあるのか。


父さんの方に目で疑問を訴えるけど、また困ったように笑っている。


おじさんは、何かを考え込むとき、納得いかないときとても厳しい顔になる。

頑固で堅いおじさんに対して、父さんは穏やかで優しい人だから、

この二人はバランスが合うようで昔からとても仲が良い。



父さんでも手に負えないくらい、おじさんが何かに不満を持っているのは明らかだった。
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