あたたかい場所

「聡!洗い物手伝って」

食べ終わった後、片づけをする母さんに呼ばれキッチンに行くと、おばさんと由香と三人で洗い物をしていた。

「洗って。私が拭くから」
頼まれて何枚もの重なった皿を一枚ずつ洗っていく。

料理が無くなった広いダイニングテーブルには、美紗、翔さん、彩芽さん、有村さん、父さんが座っていて

美紗の昔のアルバムを見ているようだ。

楽しそうに声をあげる彩芽さんと有村さんに、これはあかん!と時々焦っている美紗。


「これ青山くんじゃない?」

そう言った彩芽さんは、写真を指さしているんだろうけど、

僕は滑るから皿を落とさないように気を向けていて、会話だけが聞こえてくる。


「そうやで。ここ聡が引っ越して来たぐらいちゃう?

なぁおじさん?」


「そうだね。美紗が三歳って書いているし」

僕と美紗は、本当に家族ぐるみで仲が良いから、

僕の父さんと母さんは美紗の事を呼び捨てで呼ぶし、


おじさんとおばさんは僕と由香のことを呼び捨てで呼ぶ。
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