あたたかい場所
「日本酒あるか?」
「飲むん?あるけど」
「持ってきてくれ」
おばさんは日本酒の瓶を抱えてリビングの方へ歩いて行った。
ソファーに晴輝さんもいるのかな。
「晴輝も飲むの?二日酔いはダメだよ!」
「分かってるよ!」
ソファーの方に目を向けて言った彩芽さんに晴輝さんは返事をしたから、おじさんは晴輝さんと二人で飲むつもりなのだろう。
晴輝さんは酒が強いって聞いたことがあるし、二日酔いの心配もないな、と思った。
洗い物を終えると、隣でコップを拭いていた母さんが言った。
「昔はね~、聡と美紗が結婚するんじゃないか、なんて話してたんだよ」
「え?」
「そんな事あるわけないのにね」
母さんはなんだか寂しそうに笑顔を見せた。
いきなりそんなことを言われて何だかよく分からなかった。