あたたかい場所

「日本酒あるか?」

「飲むん?あるけど」

「持ってきてくれ」
おばさんは日本酒の瓶を抱えてリビングの方へ歩いて行った。

ソファーに晴輝さんもいるのかな。


「晴輝も飲むの?二日酔いはダメだよ!」

「分かってるよ!」
ソファーの方に目を向けて言った彩芽さんに晴輝さんは返事をしたから、おじさんは晴輝さんと二人で飲むつもりなのだろう。

晴輝さんは酒が強いって聞いたことがあるし、二日酔いの心配もないな、と思った。

洗い物を終えると、隣でコップを拭いていた母さんが言った。



「昔はね~、聡と美紗が結婚するんじゃないか、なんて話してたんだよ」


「え?」

「そんな事あるわけないのにね」
母さんはなんだか寂しそうに笑顔を見せた。



いきなりそんなことを言われて何だかよく分からなかった。
< 133 / 290 >

この作品をシェア

pagetop