あたたかい場所
「泊まって行ったらええのに」
「泊まりたいけどさぁ、明日は朝からリハなんやて」
「そう、残念やわー。次は正月やね」
「そやな。じゃあ行くわ。由香ちゃん明日な!」
由香に向かって手を振る美紗。
「明日は由香がお世話になります」
「いいえ。今日はお邪魔させていただき、ご馳走にならせて頂いて…本当にありがとうございました」
僕の家族と美紗の家族にお辞儀する有村さんに続いてメンバーも続いてお辞儀をしていた。
「晴輝くん」
「はい」
「また一緒に飲もうな」
「もちろんです!」
来た時は晴輝さんに対して堅い表情を見せていたおじさんが、自分から晴輝さんに握手を求めていた。
それに、分かりやすく嬉しそうな笑顔を見せる晴輝さん。
おじさんは、ちゃらちゃらした人があんまり好きじゃなかっただけかな?
晴輝さんは中身はちゃんとしているし、話してみてそれに気づいたんだろう。
皆と一緒に美紗の家を出ながら、由香が来たら僕はまたソファーで寝ることになるな…なんて考えていた。