あたたかい場所

僕の隣で由香は驚いて目を見開いていた。


「ゆ、ユリアじゃん!」


「こら。呼び捨てにするな」
あまりにも由香の礼儀が悪いので、軽く頭をつついてやった。

“いったぁーい”と間抜けな声を出す由香。



「青山くん、いいのよ。初めまして、ユリアです」
ユリアさんはこんな妹にも、笑顔で握手をしてくれる。


本当、情けない。

由香は僕にもう怒られるのが嫌なのか、しょんぼりしながら握手に応えている。

そんな由香に、ユリアさんは写真撮ろうか、とか京都のお菓子食べないか、とかとても気遣ってくれる。


由香も気を良くして、図々しくサインを頼んだり…

ユリアさんはどんな由香の頼みも快く引き受けてくれている。




どこまで良い人なんだ。
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