あたたかい場所

「じゃあ、私はこれで。由香ちゃん、東京楽しんでね」
ユリアさんは明後日から、大阪でツアーの公演があるからここでお別れになった。

新幹線の改札で、ユリアさんは由香に大きく手を振ってくれた。

新幹線にはギリギリで乗り込むことが出来て、席に着く。


僕は、このフェスの同行で初めてグリーン車に乗った。
修学旅行とかで新幹線には乗ったことがあったけど、それはもちろん普通車両。

一席がかなりゆったりしていて楽。
こういうところで、美紗たちは芸能人だなと思わされる。


一列四人だったから、二列取って席を向かい合わせた。

彩芽さんは隣に由香を座らせてくれた。その向かいに晴輝さんと翔さんが座っている。

通路を挟んで僕、その向かいに美紗と有村さんが座った。


「皆お腹空いたでしょ。由香ちゃんが買ってきてくれたから食べようか」
気づけばもう夕方になっていて、夏は昼が長いけどもう夕陽が顔を出している。

フェスで体力を使い切ってヘトヘトになっていたメンバーは、食欲も湧いていたらしい。



酸味もあって疲れていても食べやすいのか、由香が買ってきた箱寿司をぺろりと平らげていた。
< 148 / 290 >

この作品をシェア

pagetop