あたたかい場所
フェスに同行している間の仕事が無くなるはずはない。
溜まっていた仕事を消化するのに必死で、気づけば夜の10時を回っていた。
「青山くん、もう帰っていいよ。続きは明日にしたら?」
同じく溜まった仕事を片付けていた有村さんの言葉に甘えて、ヘトヘトになりながら事務所を出る。
今日は由香がいない。
ゆっくりベッドで寝付けると思うと、足取りが少し軽くなった。
アパートについて、鍵で開錠してドアの取っ手を下ろして引っ張ると、何故か鍵が閉まった。
あれ、一回しか鍵回してないはず…
朝ちゃんと確認したのに。開けたまま出て行ってしまったんだろうか。
それとも…と不吉な予感がしたけどそれは放っておいて、
もう一度開錠して恐る恐るドアを開けた。