あたたかい場所

「えっと…こんな感じでドーン、て発表すんのは恥ずいんだけど」

いつも物事をズバズバ言う神田さんが言葉を詰まらせているのは珍しい。



中々話し出さない神田さんに痺れを切らしたのは、有村さんだった。



「結婚します」


有村さんは、何の恥じらいもなく冷静に言った。


「えー!ほんま!?千晴ちゃん、あんなだらしないのでええの!?」

「こら、美紗お前な」

「大丈夫よ。浮気したら絞めるから」
ニコリ、と作り笑顔をした有村さんに冷や冷やしている神田さんは面白かった。


「こりゃ女遊びも出来ないわね」

クスクス笑う社長は神田さんの背中をバンッと叩いた。



「ってことなんで…式には皆呼びたいと思ってるんで…」

「皆、この人の誓いをじーっくり聞いておいてね」


また作り笑顔を見せた有村さんに神田さんはもう尻に引かれるのが決定だな、そう思った。
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