あたたかい場所
「不思議だな…」
「何が?」
運転に集中しろ、と言いたくなるくらい視線をこちらに向けてくる美紗に“何でもない”とだけ返す。
本当、不思議に思う。
美紗と再会してから、余計に思う。
美紗と話してるだけで驚く程安心する。
僕は東京に出てきてよかったと、何度も思うんだ。
「今日は飲み明かそうやぁ」
「いつものことだろ」
「バレた?」
楽しそうに笑う美紗。
こんな毎日が続くと、信じていたのは僕だけじゃなかったはず…
刻々と、闇は近づいていた。