あたたかい場所
…そうだった、僕は美紗を起こしに来たんだ。
有村さんに頼まれたことなのに、すっかり忘れてしまっていた。
それくらい、動揺していた。
「MISAさん、MISAさん」
呼んだことも無い呼び方をしてみる。
でもそれは仕方ない。僕は今、芸能事務所の社員なんだから。
「MISAさん、起きてください」
何度も何度も呼びかけるけれど、美紗が起きる気配がない。
「んー」
寝返りをうつ美紗にもう一度名前を呼んでみるけれど、やっぱり起きない。
眠りが深いのは、変わってないんだな…