あたたかい場所
「…ちょっと待って」
後ろから美紗の不機嫌そうな声が聞こえてきた。
振り返ると、メモに何かを書いている美紗がいた。
えーっと…とか何やったっけ、とか声を漏らしながら書いている。
「仕事終わったら来て」
そう言ってメモを渡された。
「それは…社員とタレントとしてですか?」
「…聡と美紗として」
そう答えて美紗は部屋を出て行った。
聡と美紗として…か。
あいつ、なんか良いこと言うなぁ。
芸術的ってゆーか…。
そんなことを考えながら、渡されたメモを開いてみた。
どこかの住所が書いてある。
どこなのか気になったが、有村さんから備品の整理を頼まれていたことを思い出す。
メモをポケットにしまって、備品室へ向かった。