あたたかい場所
「見て、MISAちゃん、良い顔してるよ」
牧原さんが向けてきたカメラの中の写真に写る美紗は、朝事務所に来た時とは別人みたいな笑顔だった。
「ありがとうございます」
「はい?」
「ありがとうございます。その、こういう状況の中で、盛り上げて下さって…」
「あぁ。そんなの、当たり前でしょ。
それより、いいマネージャーなんだね」
「え?」
「あなたずっと、メンバーを心配そうに見てた。
メンバーのこと気遣って大事にしてなきゃ出来ない顔してたよ」
いきなりそう言われて、返す言葉が見つからない。
褒められている、んだよな。
「ありがとうございます…」
「本当のことだから。
次、ショップで撮影ね。そのあと、皆で美味しいものでも食べましょうか」
「そうですね、メンバー呼んできます」
「よろしく~」
スタイリストさんからタオルをもらって、メンバーの所まで行く。