あたたかい場所
「青山くんさ…あの記事、読んでないって言ってたけど」
「はい…」
あの記事、という単語だけですぐに分かった。
僕はあの時、冒頭の見出しだけですべてを悟り、内容は読んでいない。
読むのが…怖くて。
読まなかったんじゃなくて、読めなかったんだ。
自分の感情でどう整理していいかわからなくて、どう処理すればいいのかわからなくて。
だから僕は、真実を深く掘り下げることをしなかった。
一人で、大きな真実を受け止められる覚悟なんて出来ていなかったんだ。
「それは、動揺してたから?」
「そう、ですかね」
「今なら受け止められる?」
翔さんに真っ直ぐな目で聞かれる。