あたたかい場所

「陸っていうんだ、元ボーカルは。

俺と陸は中学の同級生だった」

翔さんが淡々と話し始める。



「同じバンドが好きで話が合って、一緒にギター始めて、

いつかバンド組もうなって話してた。

同じ高校に入ったら彩芽がいて、ベースやってるってことでつるむようになった。


必然的に、ドラムを探そうって話になったんだよ」


「俺の高校に翔たちが来たんだよな」

「そう。隣の高校にすごいドラマーがいるって聞いてさ。

会ったとき、チャラすぎてどうしようかと思ったけど」



「うるせぇなぁ」

「本当のことだろ。

でも、音楽に対する姿勢は全然チャラくなかった」


翔さんの言葉に、晴輝さんは黙り込んだ。


照れているのだろうか。
< 279 / 290 >

この作品をシェア

pagetop