あたたかい場所
「自分が何も出来てなかったって思うかもしれない。
でも、それが美紗を救ってたんだ。胸を張って欲しい」
優しく笑う翔さん。
いつも僕は、まわりの人に励まされてばかりだ。
いつもいつも、助けられてる。
だけどそんな僕が、美紗を救えていたのか。
何か力になるようなことをしたつもりはなくても、美紗の支えになれていたなら。
今度はちゃんと自覚を持って、美紗を支えたい。
美紗だけじゃない。こんな風に僕を助けてくれる、翔さんを、晴輝さんを、彩芽さんを、僕が支えたい。
HOT HEARTの全てを理解して、支える。
今からならきっと、それができるはず。
たくさんの荷物を抱えて活動を続けるHOT HEARTを、とてつもない闇と限りない光を抱えるHOT HEARTを。
「俺たちとHOT HEARTは、ただのマネージャーとタレントじゃない」
神田さんが言った言葉は、深く僕の心に響いた。
「仕事って割り切るんじゃなくて、心で向き合え」
今度はミラー越しに神田さんと目が合った。
想像以上に、重い。
だけど僕は、逃げない。
今踏ん張っているHOT HEARTがここからまた、輝けるまで。