あたたかい場所
事務所へ入ってきたのは、長身の男性だった。
ガタイが良くて格好いい。
「有村!迎え行くぞ」
そう言いながら男性は近づいてきた。
…あれ?
「あ、君」
「面接官の…」
「神田徹平です。久しぶり」
“神田徹平”そう名乗った彼は僕の就職時の面接官だった。
半年ぶりくらいで、すっかり忘れていた。
ん?神田…
「あの、神田って…?」
「ああ、社長は俺の親父の妹。社長は独身だから苗字一緒なんだ」
「そうなんですか。これからよろしくお願いします」
「うん、よろしく。
有村につかれてるんなら、お前は運が悪いな」
そう言って神田さんはクククっと笑った。