あたたかい場所
「東京は…時間の流れが速くて大変だけど、色んなことを学べる場所だと思う」
いきなりそんなことを言った僕に美紗は驚いて、そして小さく笑った。
「初めて真面目に答えたやん」
肩に軽くパンチを入れられ、いつもの美紗の笑顔が見れたことにホッとする。
「…それで?
いつ行くかは決めた?」
「明日」
「…明日!?」
予想とは違う答えに驚いて、思わず大声を出してしまった。
「うん、明日」
至って美紗は冷静だ。
僕だけ慌てているのがなんだか馬鹿馬鹿しくなって、ひとつ咳をした。
「秘密にしてろって言ったのに、おばさん達には言ったの?」
「うん。さすがに、家でるのに秘密にしとくわけにはいかんやろ?
やから、ちゃんと言った」