あたたかい場所
「上手く行くと、いいな」
僕はそう言いながら、とてつもなく深い孤独に襲われたような気分になった。
いつも隣に居た美紗が、居なくなる。
一日も会わない日が無いほど、ずっと一緒に居た美紗が、居なくなる。
僕を得体の知れない黒い渦巻が包み込んでいるように思えた。
「聡には、なかなか言えんかった」
続けて、美紗は“ごめんな”と謝ってきた。
「ずっと一緒に居ったやろ…やからこそ、言えんくて」
そう言って俯いた美紗。
…僕と一緒だ。