あたたかい場所
─翌日、昼の二時の便で東京に向かうという美紗を空港まで見送りに来た。
おばさんが運転する車で空港に向かう間、僕と美紗は一言も言葉を交わさなかった。
何か話せば話すほど、悲しくなってしまうと二人とも分かっていた。
空港に着いて、搭乗口へ向かう美紗の背中は、
華奢ながらもとても逞しく見えた。
ふと、昨日した約束を思い出した。
─美紗の夢が叶ったと思えた時に、連絡する。
美紗は小指を出してきた。
僕は小指を絡めた。
僕はずっと待っていようと思った。
美紗が、胸を張って夢を叶えたと言えるときまで、
待っていようと思った。