あたたかい場所
「ほんまに!?じゃあはよ選ぶで!」
こっちもええな、あっちもええな、と忙しく動き回る美紗。
本当、分かりやすい奴だな。
いくつものネクタイを手にして考えている美紗をみて思わず苦笑してしまった。
「聡!赤にせん?お気に入りの赤のやつが特にやられたらしいし」
その情報を信じ、美紗が渡してきた赤のネクタイをおじさんのプレゼントにすることにした。
結構値段は張ったけど、二人で分けて払ったからそれ程でも無かった。
昔からお互いの両親や由香の誕生日には割り勘でプレゼントを買っていた。
美紗と離れていた四年間はそれが無かったから、また戻ってきたのがなんだか嬉しい。
「はい。次は由香ちゃんの買いに行くで!」
ネクタイを入れた袋はちゃっかり持たされた。