あたたかい場所
「でも…」
美紗は帰ってきてた?嘘だろ。
そんな話本当に誰からも聞いていない。
「聡が気づかんかっただけちゃう。うちは友達に会うたり、由香ちゃんとも出かけたりしとったで」
「でも前、忙しくて帰る暇もないって…」
「そんなん正月は例外やろ?」
そう言って美紗はニヤッと笑った。
こいつ、わざと僕に秘密にしてたな。
お互いの家族にも、友達にも、僕に言わないように口止めしたんだろうな。
それは、あの約束があったからなのだろうか。
いや、ただ美紗は僕に意地悪をしたかっただけだろうな。