春風



成美がおれに気づいてこっちにやってくる。


【ハル、久しぶ…】


【ごめん成美、別れよう】


【…えっ?】


それだけ言うとおれはその場から逃げるように立ち去った。


【ちょっと待ってよ…】


背中から聞こえる成美の震えた声。


でもおれは、振り返らなかった。





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