春風



我慢していた成美の涙が、大きな粒になっとて頬を伝う。



【どうして?どうしてもっと早く言ってくれなかったの?


…もう無理だよ。もう後戻りはできないよ。


だからせめて、笑顔でさよならしよ?ハルはうちの笑顔が好きって言ってくれたよね?だから…。ほら、ハル泣かないで?】



…おれ、泣いてる?自分じゃ全然気付かなかった。成美に負けないくらい大粒の涙が、空港の冷たいフロアに落ちる。



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