妹が彼氏欲しいらしいから俺が仮の彼氏になってみた
昼時間を過ぎ昼食を済ましただけの筈なのに俺は身体にどっと疲れが溜まっていた。


原因は、あのホモ野郎が俺が少し大きめのウィンナーを食べているところを凝視され、挙句の果てには、その勢いで僕の茹でたてウィンナーもいかがだのホモネタをぶっ込んだり、花村がそれに乗っかりホモ野郎にバターを渡し、犬にでも舐められてなさいなどという、如何わしい行為に走らせようとしていた。


何と言うかいつも通りだ。逆に何か起こらないと、気が狂いそうだ。
俺も呑み込まれたな。


午後の授業は先生が見回りに入ったので、いつもの花村のおかしな話や天草のホモネタも飛ばずに済み放課後を迎えた。


いやあ、集中したな。


これで明日の模擬試験も点数が取れそうだ。


というより、花村が静かだな。


何してるんだ。


俺は隣の席を見る。

花村は真剣にノートを見詰め吟味している。


「何してるんだお前。」


「失礼ね。今古文の勉強中よ。」


「お前って国語全般得意だったろ?」


「だからといってしない訳にはいかないでしょ。」


「そりゃそうだけど。何読んでんだ?」


「般若心経よ。」


「は?」


「聞こえなかったのかしら。般若心経よ。...そうだったわ、あなたあの青いタヌキの様にネズミに耳を食べられたのだったわね。聞こえなくて当然ね。失敬(・ω<)★」


「俺別に秘密道具とか出せねえから!」


最後のなんだよ!可愛くウィンクしやがって、頭の上に☆まで浮かび上がってるぞ。


「いい?般若心経はね、現代語訳すると生きるヒントが壮絶に書かれているのよ。あなたも読んでみたらその低劣な人生を豪華に彩れるわよ。」


「もう訳わんねぇよ!」


「とりあえず今私は絶賛翻訳中だから、邪魔しないでくれるかしら。」


「あ、ああ分かった。」


まあいいか、あいつはあいつで勉強してるから。


じゃあ俺は帰るか。


「あ、じゃあね一条くん。」


蒼太が俺に手を振る。


「あら帰るのね。来世で会いましょうか。」


「来世でも俺はお前に会うのかよ...」


「私達は必ず巡り会わなければいけない運命なのよ。それを真摯に受け止めなさい。」


「受け止めるから俺を帰らせろ!」


「あなたが私にツッコミを入れるから帰れないのであって私に非はないわ。」


「お前が言うのをやめないから俺は帰れないんだ!」


「わかったわかったわかった。もうわかった。 だからもうわかったって。 もういいからもうわかったから。 あなたの言いたい事も言...」


「そこでその言葉は禁句だ!」


疲れるな...これは無視するか...


「待ちたまえ一条研くん!帰る前に僕のエク〇カリバーを...」


「嫌です」


お前のは約束された勝利の剣か何かなのか...


早く帰らないと大変だな...


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