どうしようもないくらい好きでした(仮)



テーブルに置かれた珈琲は、私には少しだけ苦く感じた。
これが本格的な珈琲の味…。


陸の作ってくれる、ミルクたっぷりのコーヒーの方が私には美味しく感じてしまう。


結局、どんなに背伸びをしてみたところで、自分はまだまだ子供なのだと思い知る瞬間があるのだ。


「ななちゃんと陸って、出会ってどのくらい?」

「もうすぐ半年かな」


コーヒーカップを、冷たくなった手で覆いながら答える。


周りの人には、私達はどんな風に映っているのだろう。
高級時計を身に付けた男と、制服姿の女子高生。
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