どうしようもないくらい好きでした(仮)
「半年かあ。長いよなあ」
「そうですか?」
「いや、陸にしてはって事ね」
誠二さんはそう言うと、店でよく見る営業スマイルをした。
爽やかでいて、嫌みのない笑顔。
「陸が特定の誰かと一緒にいるなんて、本当に珍しいからさ」
「誠二さん、陸と同級生ですよね?」
「そうだよ。小学校からずっと一緒。実家も近所だしね」
「陸、ずっと彼女いないんですか?」
「まあ…高校卒業してからは無いかな。ほら、陸は旅人だろ。ツーリストって言うの?それでだと思うんだけどね」
───私の知らない陸の話し。