どうしようもないくらい好きでした(仮)
「あいつ、家に女の子入れるのも嫌だって言ってたんだぜ。あの部屋変わってるし、何かと面倒くさいからって」
誠二さんの口から飛び出す言葉に、いちいち反応してしまうのは、特別と言う言葉のせいだろう。
陸と出会ったあの日。
私達はまるでそうする事が決まっていたかのように、あの部屋にいた。
もしかしたら、私を部屋に入れる事を躊躇していたのだろうか…。
思い出してみようにも、時間がたちすぎていた。
「どうして私…?」
「ななちゃんに出会って、心境の変化でもあったのかもしれないよ」
誠二さんは、今度は意味深な笑顔をしてみせた。
そして…
「陸はさ、俺の憧れなんだよ」
私を真っ直ぐ見つめ返し、そう言い放った。