どうしようもないくらい好きでした(仮)
「陸の両親ってさ、学校の先生なんだ。親父さんは国語の教師で、お袋さんは音楽教師。
2人とも穏やかで真面目な人でさ。
でも陸の弟が産まれた時に、お袋さんは教師辞めて自宅でピアノ教室開いて。
たぶん、今でも教えてるんじゃないかな…。
陸の家に遊びに行くと、いっつもピアノの音が響いてた」
誠二さんは、時々懐かしそうな顔をしながら、昔の事を思い出すかのように話し始めた。
「陸、3人兄弟の真ん中なんだ。面倒見の良い兄貴と甘えん坊の弟。いつ見ても仲の良い兄弟だった。
兄貴は両親と同じ道に進んで教師になって、弟は確かまだ大学生じゃないかな? 音大生」
陸の家族の話しは初めて聞くことばかりだった。
両親の事も、兄弟の事も。