どうしようもないくらい好きでした(仮)
私はあくまでも平然を装いながら、陸と会話をした。
何気に覗いた店で見つけたスノードームの事や、誠二さんに偶然出会い珈琲をご馳走になった事。
それでも、彼の話した内容まで伝える事はしなかった。
ただ、入った喫茶店があまりにも雰囲気のある店で、制服姿の自分には場違いな気がしたのだと話した。
陸は可笑しそうに笑うと、
『誠二にファーストフード店なんて似合わないだろ?』と言ってまた笑った。
確かに。
言われてみればそうなのかもしれない。
その後はたわいもない会話を少しだけして電話を切った。
満たされた気持ちと、明日の事とが混じり合い、どことなく落ち着かない気持ちになる。
この曖昧な関係など、いつでも簡単に壊れてしまうものなのだと…。
今更ながら感じていた。