どうしようもないくらい好きでした(仮)
そっと手を伸ばして触れてみたくなる。
そんな衝動を抑えながら、私は陸の隣りに並んで座った。
ちょこんとその肩にもたれ掛かると、陸の腕が私の腰に回される。
「実家、どうだった?」
「ゆっくりできたよ。まあ、多少の小言は言われたけど」
「そっか。帰ったの、久しぶりなんでしょ?」
「うん。ななちゃんと出会うちょっと前に帰ったきりだったからね」
陸はそう言うと、少しだけ体の向きを変え私の顔を見つめていた。
いつの間にかタバコの火は消されていて、その残り香だけが2人の間をほんのりと漂う。