どうしようもないくらい好きでした(仮)



ドキドキと高鳴る鼓動が、陸に聞こえなければいい。


陸の真っ直ぐな眼差しは、どんなに月日が流れても私の心から平常心を奪い去っていく。


「七海…俺、また旅にでようと思うんだ」


一瞬だけ。
言葉の意味が飲み込めずに、見つめ返す私に、陸はまた同じ言葉を呟いた。


「旅に出ようと思う」


彼の発言は想定内であるに決まっていた。
その為に、私達はこの曖昧な関係を続けて来たのだから。


彼はいつでも自由なのだから。
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