どうしようもないくらい好きでした(仮)
背中越しに規則正しい陸の寝息が聞こえる。
振り向かなくとも、陸の寝顔は想像できた。
長い睫毛が縁取る瞳は、閉じると余計にタレて見える。
スッと鼻筋の通った鼻も、キュッと口角の上がった形の良い唇も何もかも。
確かめなくとも目蓋の裏に描く事ができた。
目の前の世界が光に包まれ歪んでいく。
もう、眩しくては泣いているのではなかった。
一度零れた涙は止まることを知らない。
止めどなく零れ落ちては、頬を伝い、私の世界を滲ませてしまう。