どうしようもないくらい好きでした(仮)
連れられて入ったクラブでは、ターンテーブルの前でDJがせわしなく動き回っている。
この店に来たのは、たぶん始めてだ。
店内はそれ程広くはないが、外国のクラブを思わせる造りになっていて、一見無造作に置かれた小物一つ取ってみても、店主のセンスの良さが際立ていた。
周りを見渡しながら帰る切っ掛けばかりを考えていた私は、何気にこちらを見つめる視線を視界の端で感じていた。
カウンターの前あたりで、ひときわ大勢の人混みが目に入る。
その輪の中心で、楽しそうに笑っている人。
時々感じる視線は、間違いなく彼の物だった。