どうしようもないくらい好きでした(仮)



私の降りる駅の一つ手前で裕美と別れる。


ホームに降り立ち、冷たい風に体を少し寒そうに縮こめながら手を振る彼女に、私も電車の中から手を振り返した。


聞こえていないと分かっていたけれど、私は『また明日』そう呟いた。


優しく笑う裕美の唇が、私と同じ言葉を呟くように動いた気がしてなぜだか嬉しかった。


『また明日』


当たり前のように会えると言う事が、今はどんなに大切な事なのかわかる。


当たり前な日常が、どんなに幸せな事なのか。
今は良くわかる。


< 169 / 263 >

この作品をシェア

pagetop