どうしようもないくらい好きでした(仮)
部屋中が馴染みの香りに包まれた頃。
私はゆっくりと体を起こした。
夕暮れの、今にも沈みそうなオレンジ色の光に照らされた部屋。
そこにたった一人座り込む私もまた、ありったけの孤独に沈み込み、打ちひしがれている。
ふと、さっきまで手にしていた物を思い出した。
それは確かに私の手でテーブルに置かれ、そしてそのまま放置されていた。
小さなスノードーム。
私はそれをもう一度手に取ると、軽く手の中で振ってみた。
キラキラと光るラメが、まるで雪のようにドームの中で舞う。
夕暮れの光に照らされて、少しだけ朱色に染まって見えた。