どうしようもないくらい好きでした(仮)
向こうで購入したハガキだろうか。
華やかな色彩の、いかにもな観光者向けの写真の付いたハガキ。
投函日はインクが滲んで読み取れなかった。
何となく異国の香りを感じてしまうのは、私の先入観からなのだろうか。
宛先の住所はもちろん陸のもので、宛名もまた、私のものではない。
冷静に考えてみれば、陸は自分で自分宛てにハガキを出した事になる。
それでもそのハガキに書かれている文章は、紛れもなく陸から私へのものだった。
そこには『七海へ』という書き始めから続く、とても整った綺麗な文字が連なって書かれていた。