どうしようもないくらい好きでした(仮)





仰向きのまま目を閉じれば、すかさず陸の顔が浮かんでくる。


少し困ったように微笑む。
切なそうに歪む笑顔を思い浮かべれば、閉じた瞳からでさえ涙が零れる。


あんなにも泣きはらした後だというのに。


それでも、睡眠不足からくる倦怠感に全身を被われ涙を拭うことすら面倒で、そのままにした。


そのうちに、さっきまでの鈍い痛みが嘘のように抜けていくのがわかる。
薬の効き目だろうか。


少しだけ眠ろう。


どうせなら、この胸の痛みも一緒に消し去ってくれればよかったのに。





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