どうしようもないくらい好きでした(仮)



いったいどれだけの時間眠っていたのだろう。
静けさの中、コチコチと時間の流れる音だけが現実的に規則正しく動いている。
時計の針は11時を少し過ぎたあたりを指していた。


大して熟睡できた訳でもなく、浅い眠りの中で何度も陸の名前を呟いた気がする。
夢の中でだったのか、それとも言葉となって溢れ出していたのかは分からない。


それでも涙は止まっていたし、不快だった頭の痛みもすっかりと消えさっていた。


あれほど重たかった目蓋も、朝の最悪な状況から比べれば多少は見られる物になっているように思える。


私はベットから起きあがると、カーテン越しに外を眺めた。
自分の部屋から外を眺めるのは、何だか随分と久しぶりのように感じた。
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