どうしようもないくらい好きでした(仮)



母子家庭だから、なのだろうか。
母は私の一番の理解者だった。


誰よりも私を理解しようとしてくれている。
いつからだろう。
それを日に日に感じ始めていた。


もちろん、自分でも解読不能な不安や退屈さから自分勝手に振る舞っては喧嘩の絶えない時期もあったし、一番身近で、一番うっと惜しい存在だった頃もあった。


それでも、母は誰よりも私の理解者だった。


コートを羽織り、手袋とマフラーを付けるとポケットに鍵が入っている事を確認してから外に出る。


吹き付ける風が一瞬で空気を凍らせてしまうような、吸い込めば凍てつくようで冷たい、それでいて澄んだ冬の空気。


私は少しだけ早足で歩き出していた。


もちろん、行き先は陸の家。






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