どうしようもないくらい好きでした(仮)
小さな頃、何度も泊まりに来ていた家。
何も変わってはいない。
見慣れた家具やそこに流れる懐かしい空気も。
それなのにどこか違って見えるのは、私が大きくなったからだろうか。
昔は恐ろしく大きく思えた柱時計も、今はそれなりに見える。
最後にここに泊まったのはいつだったろう。
いつしか暗闇を怖れなくなった。
一人でいる事を自由なのだと思い始めた頃。
少しずつ大人に近づき始める自分に。
外の世界に自分の居場所を見出し始めた事に。
どこか祖父母に対する後ろめたさもあったのかもしれない。