どうしようもないくらい好きでした(仮)



出来るだけ自然に。
私はツールから立ち上がると、ゆっくりと出口に向かって歩き出した。


何故そうしたのかはわからない。


ただ衝動的に。
何かに掻き立てられるように。


私は彼を追わずにはいられなかったのだ。


重たいドアを押し開け外に出る。
ほんの数分前。
もしかしたら、まだ数秒前だったかもしれない。


確かに目の前で外に出て行った背中を捜した。


比較的大きな一本道。
街灯に照らされ、店内よりずっと明るく感じる。


それなのに、彼の姿はもうそこには無かった。




< 20 / 263 >

この作品をシェア

pagetop