どうしようもないくらい好きでした(仮)



「それで、ななちゃんの将来の夢は何?」

「えっ?」


祖母のそんな質問に、一瞬時間が止まったような気がした。


言われてみれば確かに。
そろそろ自分の将来についての選択肢を出さなくてはいけない時期に来ていた。


何となくまだ一年あるのだからと安心していたのだけれど、正確にはそんな余裕はないのだ。


『手に職を付けなさい』
母に子供の頃からよく言われていた事。


母子家庭の母親の、とても現実的な助言だろうと思う。


それでも私は、母のように献身的に病人をお世話できるようなタフさは持ち合わせてはいない。


日勤と夜勤。
そんな不規則な生活の大変さも、幼い頃からずっと見てきたつもりだった。




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