どうしようもないくらい好きでした(仮)



「七海、あんた何かやりたい事とかあるの?」

「まあ…何となくは。でも、まだ決めた訳じゃないし…」


しどろもどろで煮え切らない態度の私に、2人の視線が容赦なく注がれる。
正直、こういうのは苦手だ。


それでも私が答えるまで終わらなそうなこの雰囲気。


私は何となく姿勢を正してみた。
そして…諦めた。


「やりたい事っていうか、まあ、興味の有る事って言われたら…美容師かなって。
あの…まだコレって訳じゃないし、本当。何となく良いかなって思ってるだけだし…」


誰にも話した事はなかった。
それどころか、自分の夢なのだと他人に聞かせても良いのかすら疑問に思える程の、そんな程度のものだった。





< 202 / 263 >

この作品をシェア

pagetop